皆さんこんにちは。
東京コンサルティンググループ、インドネシア法人にて赴任しております、上原陵です。
本日は、インドネシアにおける外貨建対外債務に関わる規制と、そのバックグラウンドのお話をご紹介したいと思います。
【ヘッジ比率規制】
インドネシアにおいて、外貨建債務を外貨建て資産より10万USDを超えて保有している場合、その差額の20~25%に対してヘッジを行わなければなりません。
【流動性比率規制】
インドネシアにおいて、外貨建て債務に対する外貨建て資産の保有比率が50%以下である場合、その差額分の外貨建債券を購入しなければなりません。(2016年以降は70%)
そもそもヘッジとは、ヘッジ会計などを学ばれたことがある方以外には、「避ける」くらいの意味合いでしか伝わっていないかと思われます。
その具体的な内容は、会計士でさえ全貌を把握している者は少なく、金融業界に長く携わり初めて活用することが出来るようになるものです。(なので通常は銀行にて行います。)
ヘッジとは、いわゆるデリバティブ(金融派生商品)を活用し、為替差損益による利益の変動を避けようとする活動全般を指します。
近年、インドネシアにおいてはルピア安傾向にあり、外貨建て債務を保有している企業において何億ルピアという為替差損が発生している、という事例をしばしば耳にします。
というのも、インドネシアにおいて外資企業が参入するには最低投資額として100億ルピア(約8000万円)を用意しなければならず、その膨大な額からとても自己資本では解決できず、ローンを利用する企業が多いため、上記のようなことがおこりやすいと思われます。
そして、インドネシアにおいて為替差損益は通常全額損金、益金算入が可能です。
つまり、どれだけインドネシアにおける本業がうまくいっていたとしても、営業外の為替差損により、会計上の利益、税務上の課税所得もマイナスとなり、結果として法人税をインドネシアにおいて納めることが出来なくなります。
外貨建て債務保有企業の母数の多さや、自国通貨安傾向といった背景から、インドネシア政府では税収面での懸念点を無くすため、外貨建て債務への規制はより厳しく施行するべき、という判断があったのではないかと思われます。
本日は以上です。 来週もよろしくお願い致します。
東京コンサルティングファーム フィリピン拠点
上原陵
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